| 上級◇問題(23)
	  次の英文を日本語にしてください.日用品の美的価値について述べた文章からの一文です.
	  	  
	  [STEP-4] 解説を読んで読み方のコツをつかみましょう.
	  
	  "Rightly viewed," Thomas Carlyle wrote in his book Sartor Resartus, "no meanest object is insignificant; 
	  all objects are as windows, through which the philosophic eye looks into Infinitude itself."
       
	   1. rightly viewed: これは no meanest object is insignificant という文と並んでいる分詞のフレーズ(いわゆる分詞構文)ですね.
 "分詞構文は主語を補え"
 この場合は no meanest object の no を除いた the meanest object を rightly viewed の前に補って意味を捉えます.
	  過去分詞なので「the meanest object が正しく眺められる」という受身の意味になりますね.
	  ただしこれを後の文に自然な形でつなぐと「正しく眺めれば the meanest object は…」となって日本語から受身の表現は消えてしまいます.
 2. no meanest object: 前後関係によっては最上級に even を補って「どんなに…でも」と解釈しなければならない場合があります.
	  例えば
 He used to wake at the least noise. - LDOCE
 これを「彼は以前最も小さな物音に目が覚めた」するのは誤訳です.
	  正しくは「彼は以前どんなに小さな物音がしても目が覚めたものである」です.
	  したがってこの meanest object も「どんなにささいなものでも」と考えます.
 そしてこの名詞のフレーズの前に no がついています.
	  これまでも何度かとり上げたように<no+名詞>の形は,形の上では no は後の名詞を修飾していますが,このような表現が日本語にはないので,no を形容詞のまま日本語にすることはできません.
	  内容上は動詞否定,つまり文否定としてとらえて「どんなにささいなものでも重要でない[無意味な]ものはない」とします.
 3. ,through which: <カンマ+前置詞+関係代名詞>は前の名詞(いわゆる先行詞)を関係代名詞に代入して,普通の文として意味をつかみます.
	  この場合は through the windows the philosophic eye looks into Infinitude itself とすればいいですね.
 [解答例]
	  トーマス・カーライルは彼の著作「Sartor Resartus」の中で次のように書いた.
	  「正しく眺めればたとえどんなに些細なものでも無意味なものはない.
	  あらゆるものは,哲学的な目が無限そのものをのぞきこむ窓のようなものである」と.
       |