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                     ロシア海軍の原子力潜水艦「クルスク」が軍事演習中、北極圏に位置するバレンツ海海底に沈没した事故で21日午後、クルスクが所属する北方艦隊のモツァク参謀長は「生存者は一人もいない」と発表した。 
					《「原潜の軍事演習」について英会話》 
					12日に発生した原潜事故は、乗組員118人全員死亡という旧ソ連時代を含めてロシア海軍史上最悪の結末となった。 
					<英語記事:過去の原潜事故> 
					原潜大国だったロシアも財政難から大幅な縮小を余儀なくされていた中で起きた事故だった。 
					ロシア政府は当初、他国からの支援の申し出を必要なしとして拒否した。 
					救出作業は悪天候も重なって難航を極め、16日になってロシア政府は単独の救出作業を断念し、ノルウェーと英国に協力を求めた。 
					21日、ノルウェー人のダイバーが脱出用ハッチを開けることに成功、艦内全域の浸水を確認した。 
					〔英会話用の口語文体で言い換え〕 
					ロシア政府が外国に救援を要請したのは事故発生から4日も経ってからだった。 
					国際支援の要請をためらった理由として、最新鋭原潜の機密が漏洩することを警戒したためとの指摘がある。 
					《「国際支援拒否の理由」に関して英会話/ディスカッション》 
					人命救助よりも軍事機密の保持や組織防衛を優先したことが初動態勢の遅れにつながり大惨事を招いたといえる。 
					クルスク沈没の事実公表が遅れたことも不可解だ。 
					沈没したのは12日だったが、ロシア海軍がその事実を公表したのは14日だった。 
					[「事実公表の遅れ」を英会話のトピックとして] 
					ロシア海軍が事実公表を意図的に遅らせた疑いが強い。 
					15日、ロシア政府は政府事故調査委員会を発足、ロシア海軍による本格的な救出作業が開始された。 
					他にも、乗組員の安否や事故原因をめぐる情報が錯綜するなど初期対応の不手際は、事態を著しく混乱させるとともに、ロシア政府と軍部の危機管理体制の欠陥を露呈することになった。 
					〔英会話表現による言い換え〕 
					原潜の沈没事故がもたらす環境汚染への不安もある。 
					クルスクが搭載していた2基の原子炉は事故直後に自動停止したという。 
					ノルウェーの国立放射線研究所や民間の環境保護団体は、現時点では放射能汚染は検出されていないと発表している。 
					しかし、艦体の破損状況によっては、今後放射能漏れによる海洋汚染の危険性もある。 
					<英会話/ディスカッション:原潜事故の海洋環境への影響> 
					クルスクが核ミサイルを装備していた可能性があることも心配の種だ。 
					退役させた原潜の解体問題も指摘されている。 
					《「ロシア原潜の解体問題」に関して英語論説》 
					ロシア北西部にあるコラ半島や極東地域には、ロシアの退役原潜が多数未処理の原子炉を搭載したまま係留されており、原潜の解体などによって生じる放射性廃棄物も危機的な状態で放置されているという。 
					事故当時、周辺海域では米軍の潜水艦が電子偵察艦とともにクルスクも参加していたロシア北方艦隊の軍事演習の監視活動を行っていた。 
					また、米軍はクルスクの爆発音と思われる音を探知していたという。 
					事故の起きたバレンツ海など北極周辺では冷戦後も、米ロの軍事的せめぎ合いが続いている事実を思い知らされることになった。 
					<英語にて解説:北極圏での軍事競争> 
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