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                     11日、スペインの首都マドリードで早朝のラッシュアワーを狙った鉄道爆破テロが起きた。 
					《「ラッシュアワーを狙ったテロ」について英会話》 
					3つの駅の4本の列車でほぼ同時に爆発があり、200人近くが死亡し、約1400人が重軽傷を負うという大惨事となった。 
					テロ発生後スペイン内務省は、バスク地方の分離独立を求める武装組織「バスク祖国と自由(ETA)」が、14日に予定されている総選挙を機にテロを引き起こした疑いが強いと発表した。 
					ETAに対しアスナール首相は強い姿勢で臨んできた。 
					<英語にて解説:ETAの活動> 
					フランスとの捜査協力も進んだ結果、相次ぐ幹部の逮捕や拠点の摘発によって組織は弱体化していた。 
					これに対しETAの政治組織はETAの関与を否定した。 
					また、今回のテロでは通勤客で満員の電車が標的になったことや規模が格段に大きいことから、政治家などを主な標的にしてきたETAの従来のテロとは異なるとの指摘もあった。 
					〔英会話用の口語文体で言い換え〕 
					一方で国際テロ組織アルカイダ系組織が英国のアラビア語紙に犯行声明を出した。 
					《「犯行声明の信憑性」に関して英会話/ディスカッション》 
					声明は信用できるかどうか疑わしい面もあったが、今回のテロをイラク戦争でスペインが米国に積極的に協力したことへの報復としていた。 
					その後始発駅近くで盗難車からコーランのカセットテープとともに起爆装置が見つかり、13日夜には、捜査当局がモロッコ人の容疑者を拘束し、アルカイダを名乗る犯行声明ビデオを発見したことが報じられた。 
					スペイン世論の見方はイスラム過激派の関与説へと大きく傾いた。 
					〔英会話表現による言い換え〕 
					14日に総選挙が行われ、大方の予想を覆し、アスナール首相率いる中道右派の与党・国民党が、イラクからの撤兵を公約に掲げる野党・社会労働党に大敗、8年ぶりに左派政権が誕生することになった。 
					[「テロの選挙結果への影響」を英会話/ディスカッションのテーマとして] 
					選挙戦は投票直前まで与党勝利が確実視されていた。 
					スペインの経済はアスナール政権下で年4%前後の高い成長率を維持し、失業率も低下した。 
					<英語論説:アスナール政権下でのスペインの経済成長> 
					だが、経済好調の裏側ではイラク政策で親米路線を貫いたアスナール政権への不満がくすぶっていた。 
					イラク戦争開戦前の世論調査では9割近くの国民が戦争に反対したが、アスナール首相は世論の大勢を押し切ってブッシュ米大統領を支持し、イラクへ派兵した。 
					《「スペインのイラク派兵の経緯」について英語記事》 
					昨秋にはイラクで外交官1人と情報機関員7人が殺害されたこともあり、国民からは首相の決断に批判が出ていた。 
					テロ発生後の政府の対応ぶりも国民の与党不信を深めた。 
					政府はETA犯行説にこだわり続けた。 
					[「政府の“情報操作”」を英会話のトピックとして] 
					イスラム過激派の仕業との見方が強まればイラク政策の代償として責任を問われかねないことを恐れたのだ。 
					今回の選挙結果に対し「スペインはテロに屈した」と非難するのは的外れだ。 
					スペイン国民は、テロとの戦いにおいて米国一辺倒のアスナール首相のやり方には限界があることを表明したとみるべきである。 
					《「今回の選挙結果の解釈」に関して英会話/ディベート》 
					次期首相への就任が確実なサバテロ社労党書記長も勝利宣言でテロとの戦いを国民に訴えた。 
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